理事長のためのファシリテーション技術(2) 理事会運営を阻害する悪癖①

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前回は、「多様性に富むマンション管理組合、理事会運営には、ファシリテーションの技術が必要であること」をお伝えしました。理事会で議論する際の問題について、まず、検証してみましょう。

 

 

■皆さんの理事会運営は、効率的に、的確にできていますか?

 

 

理事会運営において一つの問題を議論する際に、理事から様々な意見が出てきて、収束できず、予定の時間を大幅にオーバーする事態になることはありませんか?また、最終的に合意形成に結び付かず、結論が出ないままに理事会が終わり、問題対処に相当の時間を費やすようなケースもあろうかと思います。

このような理事会の議論を進めるうえでの阻害要因として、代表的な3つを取り上げます。

 

 

■理事会における議論の阻害要因 ①「目的が不明確」

 

 

理事会の議題を取り上げる際に、その問題を議論する理由、目的地について、明確に定めていないケースはないでしょうか。例えば、議題を諮る際に、起案者の意思が明確でないために、問題だけを取り上げていたとします。
 
そうすると、幾人もの理事が、様々な意見を言うところで、場合によっては、議題と外れたところの意見がたくさん出ることにより、時間だけが過ぎ、結果、「それでは、どうすればよいか?」について、結論を出せずに、「何のための時間だったのか?」と理事会終了後に疑問に思うこともあります。
 
私の経験した理事会でも同様なことが幾度となく起きました。
 
例えば、瑕疵担保条項の対応について、マンションの売主に対し、理事会としてどのような判断をして、どのような対応を要望するかについて、結論を出す為に、3か月から4か月が経過したことがあります。並行して、大規模修繕計画についても進めなければならないところを、この瑕疵担保対応に相応の時間を使ったため、コストも時間も桁違いの重要な議案である大規模修繕の議論が、ほとんどできずに、毎月の理事会が進んでいったことがあります。
 
これについて、根本的な原因を考えると、瑕疵担保対応についての起案者自体が、明確な目的がなかったことが上げられます。
 
例えば、売主に対して、どのような対応を望めば、区分所有者にとっても納得するか?この目的地について、白紙のままで、毎回の理事会に臨むため、議論が収束せず、不毛な時間だけが過ぎる理事会が数か月間続きました。

 

 

■理事会における議論の阻害要因 ②「アクションが不明確」

 

 
マンションに生じる問題の解決策について、目的が明確に進んだとしても、次のステップで、具体的なアクションを決める必要があります。アクションは、誰が、いつまでに、何を、誰に対して、どのようにして、行うのか?について「効果的な」行動を決めるものです。
 
例えば、マンションのある居住者がゴミを上階から下に投げ捨てる迷惑行為が問題として理事会で取り上げられたとします。この居住者は、以前から問題とされる人物でしたが、迫力ある外見や見た目から誰もが少々、恐れをいだく人でした。
 
理事会では、この迷惑行為について注意する方向となりましたが、具体的な行動としては、個人名を伏せたポスター掲示による周知徹底となったため、この明確行為をする本人自身が気づかずに、迷惑行為がなかなか、収まらない状態が、数か月間続いたということがあります。
 
ここでの「効果のあるアクション」としては、例えば、「理事長と副理事長数名が、今度の土日に、該当居住者と直接会ったうえで、迷惑行為について諭す」という行動となるでしょう。

 

 

■理事会における議論の阻害要因 ③「蒸し返しと堂々巡り」

 

 

ある議題について、議論を進めている中で、過去に既に決定した事項を持ち出し、主目的である議題が進まなくなるケースは、往々にしてあるものです。
 
例えば、新しいマンション内の修繕工事についての議題を議論している途中で、前月に、決定した修繕工事について、「あれは本当に正しかったのか?」、「もっと違うやり方があったのではないか?」という意見に理事会全体が引きずられ、然るべき工事についての議論が進まないこともあるでしょう。
 
そして、いくら議論しても堂々巡りを繰り返し、合意形成に至らないことも考えられます。

 

 

■理事会議論を阻害する要因の背後にあるものは?

 

 

理事会の議論を進めるうえで、上記3つの阻害要因を特に取り上げましたが、それ以外にも、例えば、全体最適を考えず、部分最適に終始した議論を繰り返す事、や、問題をすり替えられてしまう事など、会議を進める上の阻害要因が、いくつも挙げられるものです。
 
更に悪いことに、これらの阻害要因により、理事会運営全体の雰囲気が、間違った方向に持っていかれてしまうこともあります。
 
これらの理事会を進めるうえでの阻害要因について、原因を探ると、「集団志向の落とし穴」が存在します。
 
この「マンション理事会新興を阻害する集団志向の落とし穴」について、次回ご説明します。

 
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アゴリア㈱ TGK本部 エバンジェリスト
*TGKとは、「地域コミュニティを元気に変える」の略称です。