マンション管理組合におけるリーダーシップ(9) 理事長のバランス力 ①

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マンション管理組合理事長に求められる「バランス力」について

 

 

マンション管理組合理事長のリーダーシップに求められるものの1つは、「バランス力」が上げられます。

 

「バランス力」とは、意見の異なる間に立つ調整役を意味しているわけではありません。

 

理事長は、マンション内にある問題、トラブル、課題に対応する際に、「個別の問題」と「全体の問題」、「短期的意思決定」と「長期的意思決定」という2つの軸におけるバランスを考える必要があるということになります。

 

まず、「個別の問題」と「全体の問題」について、具体的な事例を取り上げます。

 

私の居住するマンションに常時設置している「意見箱」に、居住者から、様々な問題が投稿されます。

 

月1回の理事会において、一つ一つの投稿に対する対応を議論します。

 

ある案件によっては、対応に苦慮するものもあります。

 

合意形成の場所でもある理事会は、多様な人が集まることもあり、意見も様々です。

 

そのため理事会の議論が、紛糾し、長時間にわたっても、意見が一つにまとまらないケースは、皆さんも経験しているのではないでしょうか。

 

一方で、例えば、多額のお金と時間をかけて行う大規模修繕などの重要案件も存在します。

 

ボランティアで貴重な時間を管理組合に費やす理事のメンバーには、時間が限られています。

 

個別案件にとらわれすぎると、本来、時間をかけて議論すべき重要案件が、前に進まない事態が想定できます。

 

また、反対のことも考えられます。

 

大規模修繕などの重要案件にとらわれすぎ、居住者が目の前に抱え悩んでる問題(例えば、隣接住戸の騒音やタバコの煙等々)への対処が遅れる、もしくは、放置する状態は、当事者にとって、非常につらいものであり、理事会に対する不満が増幅することもあります。

 

理事長は、常に、「個別の問題」と「全体の問題」の両方を意識しながら理事会におけるリーダーシップを発揮しなければなりません。

 

なぜなら、ボランティアで参加する理事には、理事会活動に割く時間の制約条件が存在するからです。

 

 

マンション理事長は「総会年間スケジューリング」を作るべき

 

 

それでは、どのようにこのバランスを取りながら、理事会における円滑な合意形成を目指すことができるでしょうか?

 

それは、最初に、全体を俯瞰して課題を整理し、それを理事会で、共有することです。

 

具体的には、理事長自身が、期初に「総会」から逆算した年間スケジュールを作成する事をお勧めします。

 

月1回の理事会で、1回の理事会の開催時間が、3時間とすると、年間12回×3時間で、理事会は36時間となります。この限られた時間で、いつの理事会で、何を諮ることが必要かを、「総会」から逆算して、決めておくことです。

 
 

マンション理事会の「総会年間スケジューリングの例」

 
 

例えば、マンション管理会社に管理業務を委託している場合、更新については、3か月前に、相手方に通知することになっています。

 

更新期限かつ総会が6月だった場合、その3か月前の3月には理事会で更新について諮ります。

 

私のマンションでは、管理業務委託費の支払い金額が妥当かどうかについて、まずは、理事会の納得性を高めるために、事会でできる限り検討することを始めています。

 

これを、期初の年間スケジュール立案時に、議案予定の管理で明確に記載しておくことです。

 

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    • 1月 管理会社に管理費の妥当性について、資料を要求する。

 

    • 2月 理事会 管理会社 管理業務委託契約妥当性判断~管理会社からの説明を受ける

 

    • 3月 理事会 管理会社 管理業務委託契約更新を理事会議案として決議

 

    • 6月 総会にて、管理業務委託契約更新を議案として諮る。

 

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以上のように、期初から管理しておけば、よいことになります。

 

管理業務委託契約以外にも、マンション管理組合において、「総会」を区切りとした必須の議案が、複数存在しています。

 

それを、できる限り、5W1Hに則って12回の理事会の予定議案に記載して管理することになります。

 

時間が限られていることも理事会全体が認識しながら、必須の議案を諮る以外の空いた時間を、個別問題に集中して議論することになります。

 

理事長が、理事会で示せば、理事会全体が、俯瞰的な視野を持つことができ、且つ、個別問題についてもシャープな議論ができるようになります。

 

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アゴリア㈱ TGK本部 エバンジェリスト
*TGKとは、「地域コミュニティを元気に変える」の略称です。